住宅をどの様に選ぶか?(Part4 工法編)~工法と設計の工夫~
2025.04.13

お世話になります。
株式会社リノデザイン スタッフMです。
本日、久しぶりにブログを書いております。
3月度はお客様もお引越し、業界的にはお引き渡しの多い時期で、何かザワザワしておりました。
4月の初旬も半ばになって、やっと落ち着いてきた・・という感じです。
社内では新しいプロジェクトも始動し、このブログでもいずれお届けできると思いますが。
楽しみであると共にそれはそれで忙しい日々を送っております。
さて今回、表題に上げさせて頂いている工法ですが、
建築会社は様々な研究をして、それぞれ皆さん他社との違いを訴求されております。
大枠でまとめると
・木造系工法 木造軸組工法、ツーバイフォー(2✕4)工法、木質パネル工法
・鉄骨系工法 軽量鉄骨造(プレハブ工法)、重量鉄骨造
・コンクリート系工法 RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)※戸建てでは稀
これをもっと詳細に分けていくと自分の頭の中で14種類くらいがパッと浮かぶ範囲となります。
それぞれ一長一短があって「これがベスト!」という事は中々、言えず、
また各社とも競合の中で自社の使用している工法を様々な技術で高め、一般的に弱いと言われている所を改良したりしています。
その為、一般のお客様は「いったい、どれが良いの?」となりがちです。
自分が個人的な考え方として持っているのは
「その土地の風土にさらされ長い年月を掛けて発展した工法」が良いと考えています。
住宅は各地域の環境条件、文化的背景、利用可能な資源に適応して発展してきました。
それこそ世界中で・・です。
たとえば、日本の木造軸組工法は日本列島で古くから受け継がれてきた伝統的な工法です。
四季があり、湿気の多い気候にも適応し、また畳文化や可変性のある間取りとの相性も良く、
まさに日本の暮らし方とともに育ってきました。
一方で、海外に目を向けると、
乾燥地帯では熱をためこみにくい厚い石壁の家が建てられ、寒冷地では断熱性能の高い構造が重視されます。
それぞれの地域で長く暮らしてきた人たちが「どうすれば心地よく、安心して暮らせるか」を追求してきた結果、工法にもその知恵が詰まっているのです。
だからこそ、家づくりを考える際には、単に「強そう」「おしゃれ」といった印象だけでなく、「その工法は自分たちの暮らし方に合っているか?」という視点を持つことがとても大切です。
私たちリノデザインでは、住まい手のライフスタイルや土地の特性をしっかりと汲み取りながら、
その方にとって最適な“つくり方”をご提案できるよう、日々工法の特性や技術を学習し続けています。
ちなみに私個人の考えはやはり日本では木造軸組が良いと考えています。
材料の熱伝導性、間取りの自由度、家族構成が変わった時のリフォームのし易さ・・等々からです。
今は軸組に剛床が加わったり、壁にパネルが加わったりの ”ミックス工法” になっており、
様々な強度もより強くなっています。
家は、単なる「建物」ではなく、ご家族の時間を積み重ねていく「器」です。
だからこそ、何を選ぶかではなく、どんな想いで選ぶかが、何よりも大切だと私たちは考えています。
これからも、皆さまの「自分らしい住まい」を一緒に考え、形にしていけたら幸いです。
科学的な視点から見た「工法」の違いとは?
ここから少しだけ、“うんちく”の時間です。
各工法は、見た目や工期だけでなく、**「熱の伝わり方」「揺れに対する耐性」「音の伝わり方」**など、いわゆる「建築物理」の観点でも大きく違いがあります。
たとえば、私たちが普段から意識する「冬は暖かく、夏は涼しい家にしたい」という想い。
これは「断熱性能」や「蓄熱性」「気密性」に大きく左右されます。
熱の伝わりやすさ=熱伝導率(W/mK)
- **木材(例:杉、ヒノキ)**は、熱を伝えにくい=断熱性が高い素材です。
- 熱伝導率:約0.12 W/mK前後
- → 冬の冷気、夏の熱気をゆるやかに遮断してくれるため、室内の温度変化が穏やかになります。
- 鉄やコンクリートは、熱を伝えやすく、外気の影響を受けやすい素材です。
- 鉄:約50 W/mK / コンクリート:約1.4~1.7 W/mK
- → 高い断熱材との組み合わせが必要になります。
揺れに対する性質=構造の「粘り」と「強さ」
- 木造軸組工法は、「粘り強い」構造。地震のエネルギーを受け流す性質があり、「しなっても倒れにくい」のが特徴です。
- 一方、2×4工法やパネル系工法は「面」で支える構造で、箱のような強さ=耐震性に優れています。
- 鉄骨造は「軽さ」と「強度」が特長。ただし、変形を受けやすいため、接合部の精度や仕口の処理がカギになります。
音に関しても、素材の密度と構造が影響
- 木造は「音を吸収」する性質があるため、音が反響しにくく、柔らかい響きになります。
- コンクリート造は遮音性に優れますが、逆に「音が響きすぎる」こともあるため、内装材などでの工夫が必要です。
最後に──「科学+感性」で選ぶ家づくり
このように、家づくりにおける工法選びは、感覚的な印象+科学的な視点の両面からアプローチすることが大切です。
もちろん、住まいはスペックだけで語れるものではありません。
- 「冬でも床が冷たく感じない」
- 「地震のときも家がきしむ感じがしなかった」
- 「静かな夜、家の中にいるだけで安心感がある」
これらはすべて、素材と工法、そして設計力の掛け算によって生まれる“体感”です。
私たちリノデザインでは、こうした数値に裏付けされた性能と、暮らしの実感のどちらも大切にしながら、ご提案をしています。